大英博物館のルーム1「王の図書室」見どころを全部紹介するよ!

大英博物館
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イギリスの名所の中で知らない人はいない大英博物館。

私も会員になってしまったくらい大好きな博物館なのだが、数ある部屋の中でも一番の目玉は、堂々1番目のルーム1、「King’s Library(王の図書室)」と呼ばれる部屋だと思う。

6年前、初めてロンドンに旅行で来た時、この部屋に入って、「こんなに美しい博物館があっていいんだろうか?」と驚いたものだ。

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「King’s Library」とはどんな部屋なのか?

なんで「図書室」と呼ばれているかというと、ジョージ3世(1738~1820)が集めた本が並べてある、本当の図書館だったから。その名残で、今でも壁や展示台の本棚には古書がずらり。

現在は図書館(大英図書館)として、違う場所に別館が作られ、所蔵の書物はほぼそこに移されたという。

「啓蒙」のための部屋

この部屋は、横長のこんな広い部屋になっている。

「Enlightment(啓蒙の部屋)」というのが正式名称のこの部屋、「啓蒙」というと、ちょっと「洗脳」に近いような怪しげな印象を受ける人もいるかもしれないけれど、本来の意味は、「人々に正しい知識を与え、合理的な考え方を促すこと」

17~19世紀のヨーロッパは、宗教的観点から離れ、人文学や自然学の観点から世界を理解しようとする動きが起きた「啓蒙時代」を迎えた。その時代に作られたこの部屋は、美術、科学、考古学、民俗学などにまつわる古今東西あらゆるお宝がぎっしり詰まっている、宝箱のような部屋なのだ。

その中から、素晴らしい品々を私の独断と偏見で紹介していく。

「王の図書室」個人的見どころ

優れた表現を持つ彫像

この美しい裸体像は、「アポロ像」。

2世紀、古代ローマで作られたが、上半身の部分と右側の支柱だけ当時のもので、顔や下半身などその他の部分はは18世紀に修復されたもの。

知恵の神ミネルヴァ 1783年

ここにもイケメン~~!! と思ったら女性像だった。甲冑を身に着けた姿で現される、女神ミネルヴァ。父ゼウスから生まれた時にはすでに甲冑を着ていたという。

もともとエトルリア神話で知恵・戦争・芸術・学校・商業の神であったらしいが、ローマ神話に取り入れられてからは、知恵、芸術、工芸、戦略を司るギリシア神話の女神アテーナー(アテネ)と同一視され、詩・医学・知恵・商業・製織・工芸・魔術を司る存在となったようだ。西洋では教育に関連するシンボルとして使われることが多いようだ。

古代遺跡の装飾だったと思われる、馬の頭部。本物くらいの大きさがあり、精巧に彫られていて迫力がある。

骨を見て彫ったような、というかまるでこれが頭蓋骨のような作品。

バチカン美術館にある、古代ギリシャ時代の傑作彫刻である「ラオコーン像」の縮小版。本家は大理石だけど、こちらは木製。

トロイの神官ラオコーン(中央)と息子たちが海蛇に巻き付かれている場面。

サイズは小さいとはいえ、本家にも負けないほどの出来栄え。苦痛に満ちたラオコーンの表情がよく再現されている。

グリフィンの脚に支えられた巨大なボウル。

もとはハドリアヌス帝時代の古代ローマ制だが、後世に画家・建築家のジョヴァンニ・バッティスタ・ピラネージが装飾を付け加えた。

土台には、6つの奇妙な人間の顔が彫られている。

綺麗な足の形。この曲線がたまらなく美しい……。

古代ローマ、1~2世紀に作られたもの。ギリシャ風のサンダルを履いている。ナポリに近い場所で、発見され、もともとは巨大な人物像を支えていた足だったと考えられている。

よく彫られているし保存状態もいい。踏みしめた足の力の入れ具合と爪の辺りの表現が見事。

ユニークな人間像

謎の小さなブロンズ像を見つけた。一言で表すと「巨大な性器を持つ、鶏のとさか(のようなもの)が生えた男」である。

股間が強調されているが、これは古代ギリシャ、ローマで流行した「ファルス(男性器)信仰」のの表現で、このようなモチーフは豊穣や繁栄のシンボルだった。

それよりも私が気になったのは、なぜ鶏のとさかが頭にあるんだ? ということ。あごにも、ひげの代わりに鶏のひだみたいなのがついているし。

説明がなかったので、ちょっとググってみたが、ローマ兵士が兜に鶏冠型の飾りを着けているのはあったらしいが、ここまで徹底的に鶏を模したイメージは出てこなかった。しかもあごの下まで真似ているのは相当だ。もはや兜は関係あるまい。とすると何だろう。

たぶん、鶏を多産の象徴として鶏頭の男を作ったのかな? それかすっごい鶏大好きな人か、どっちかだろう。

ペルーの瓶だが、顔がついていてなんかシュールなのでお気に入り。東インド会社の従業員が作ったもので、女性や祭司、兵士などの顔が彫られている。人物のモチーフは、古代ギリシャのダレイオス1世が君臨したペルセポリス宮殿の装飾からとられたという。

何が何やら、複数の文化が複雑な絡み方をしている。

これは兵士だろうか、女性だろうか、頭の上からさらに小さい頭がぽこぽこ出ているのがおかしい。

ネイティブ・アメリカンの油を入れる人型の容器。臓器をくりぬかれたみたいな形をしている。

イギリス海軍士官のジョージ・バンクーバーが、アラスカから北アメリカにかけて航海した1791~1795年の間に見つけ、持ち帰ったもの。

ネイティブ・アメリカンの美術については全く学がないのだが、実用的でありながら、顔や手足は彫刻さながらに実によくできていて、彼らのクリエイティビティはすごいなと思わされた。

生物や植物の標本コレクション

大英博物館創設の基礎となったコレクションを持っていた、スローン卿という貴族のコレクションが、ここには多数集められている。
この鳥の標本もその中の1つ。

長く美しい羽が内巻きにこれまた美しい形に整えられていて、ここの学芸員がこの鳥を展示する際、手で優しくなぞってセットしたんだろうか、とか想像してしまった。もとから整っていたのかもしれないけど。

美容師の人とかならわかってくれそうだけど、この毛が見事にするって流れている感じ、素晴らしいよね。これを担当した学芸員は快感だったんじゃないかなあ。

この鳥はおそらく、ジャングルにいるアレだと思われる。

※こんな感じの(オオハシ)

ハチドリから、尾の長いキジのような鳥まで、様々な標本が飾られた鳥コーナー。

貝コレクションの中に奇妙な形の貝があった。こんなの見たことない。うにのような……。

押し花で作られた植物図鑑。スローン卿はこんな風に、植物を押し花状態にして収集し、合計255冊ものアルバムを作った。独自の分類を行い「植物図鑑(押し花なので絵ではなく本物を貼りつけた図鑑)」を作っていたらしい。当時はとても貴重な資料だっただろう。

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古代動物の化石

巨大なアンモナイト。私の影がうっすら反射しているので、それと比べてもらえばどれだけ大きいかわかると思う。

マストドンという、古代の象の祖先の下あごの部分の化石。人間の腕より大きい。

図書室で古代動物の化石が見られる場所はここだけ!

キリストのレリーフ(15世紀)

15世紀、イギリスの教会に飾られていたパネルの一部。もともとはカラフルに彩られていたらしい。左は天使が聖マリアにイエスの懐妊を告げる受胎告知の図。

十字架を持って磔刑場所へと向かうキリスト。でもなんかキリストの目に違和感。閉じているようにも見えるし、白目にも見える。もともとは彩色されていたのかな?

ヒエログリフの描かれたエジプトの石碑


エジプトの石碑も置かれている。未だにうっすらと塗料が残っているのはすごい。当時はカラフルだったそうな。

ただ、エジプトの遺跡に関しては、「古代エジプト&スーダン」コーナーの方が色々置いてある。かの「ロゼッタ・ストーン」もそこにあるので、お見逃しなく。

アジアの文物も展示

東アジアのものも展示されている。これは中国の観音像。白磁と青磁どっちだろう……。うっすらと青いし、青白磁かな。白磁と青磁の見分けは繊細で難しいらしいので、私にはわからないや。

知恵の神である文殊菩薩が獅子に乗っている様子を表した、日本製の像。

右手に持っている剣で無知を切り、左手の巻物には釈迦の知が書いてある。獅子の咆哮は、全ての獣を畏怖させることから、仏の説法を表しているとされる。

『日本誌』の挿絵 1729年

ドイツ人の医者、博物学者、エンゲルベルト・が日本滞在の経験をもとに著した書物「日本誌」のイラストのうちの表紙。

実際にこの本が出版されたのはケンペルの死後だったという。スローン卿がその出版をバックアップしたといい、18世紀に西洋人が日本のことを知るための最も重要な参考資料とされた。これはそのフランス語版。

翼を持つ西洋人の女性と東アジア人が一緒の場にいる奇妙な絵になっている。左のアジア人(日本人ではなくて中国人に見える……)が持っている、紙に書かれた漢字をよく見てみると、干支じゃん。なぜここで干支なのか。この男は易者だったりするのか。なぜあえての干支なのか。この図が何を意味するのか知りたい……。

科学発展の軌跡を伝える展示品も

科学の発展とともに登場したツールに特化して展示した一角もある。こちらは1750年ごろ作られた太陽系の模型。太陽を中心に惑星や月が設置されている。

宇宙の仕組みを勉強するツールとして、学校の授業で使われたものだという。

この部屋は常設展で常に入ることができるし、大英博物館全体を凝縮したといっていいほどバラエティに富んだ部屋なので、絶対におすすめ。むしろこの部屋なしでは大英博物館は語れない!

また、この部屋の隣には、古代メキシコの不思議な品々を紹介するメキシコ文化展示室がある。とても小さな部屋だが、この第1室を見学がてらぜひ寄ってみてほしい。

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大英博物館

住所:Great Russell St, Bloomsbury, London WC1B 3DG

入場無料

 

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