ロンドンのフリーメイソン博物館に潜入して不思議なお宝を見てきたよ

2016年12月12日その他の美術・博物館の展覧会フリーメイソン博物館

ロンドンのフリーメイソン博物館にとうとう侵入してきたぞー!!

フリーメイソンとは

日本語では友愛結社とも訳される秘密団体。成立時期ははっきりとはわかっていないが、16~17世紀に誕生したという説が強いようだ。また、イギリスにはその前身として石工職人の組合(ギルド)があり、それがのちに友愛団体に変わったという説もある。

この装飾の右上に、コンパスと三角定規が組み合わさったシンボルがあるが、これはその石工職人ギルドの名残だという。この謎の木版装飾は、博物館に展示されていたもの。

博物館の入口の説明には、こんな言葉があった。

「1700年代、イギリスは産業革命の時代だった。人々は仕事を求め街をさまよった。クラブや社交界は現代化する新しい世界に属する人々のニーズを満たすものとして機能した。

こうした団体は、人々を納得させるような歴史的なルーツ、そして会員を必要とし、特別なシンボルによって表された。

フリーメイソンは昔の石工職人(団体)と関係があり、シンボルもそれにちなんだものとなっている」

多くの国に支部があり、ひとつの支部はロッジと呼ばれている。そのロッジを国ごとにまとめている大支部をグランドロッジという。日本にもある。

初めてのグランドロッジができたのはイギリスらしいから、フリーメイソンはイギリスが発祥なのかも。

宗教団体か何かと思われることもあるらしいが、博物館の人によると、「どこの出身でも、どの宗教、文化背景に属していてもフリーメイソンに入れる」らしいので、宗教などとは関係ない。

また、博物館内でもらったパンフレットには、こうある。

「イングランドとウェールズでは20万人の会員と7000以上のロッジ(支部)がある。

世界では600万人もの会員がおり、会員になる理由はそれぞれ異なる。

新しい友達を作るため、または家族や社会に貢献するために入る人もいる。
しかしほとんどの人は、趣味としてフリーメイソンであることを楽しんでいる。」

端的に言うと博物館はおすすめ

入場無料・写真撮り放題・説明したがりの職員がいる。

私が行った時は、ニコニコしたプーさんのようなおじさん職員がよく話しかけてくれた。

「『ジャングル・ブック』って知ってる?あの作者もフリーメイソンだったんだよ」。へー。

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この本はフリーメイソンの基本について書かれたもので、1723年版。世界中のフリーメイソン団体に向けて書かれたものらしい。

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「Oddfellow」という秘密結社の儀式に使われたというマスク。怖すぎ。20世紀初頭のアメリカのロッジで使われた。

Oddfellowは、フリーメイソンにならって18世紀にイギリスで作られた結社で、フリーメイソンのいとこ的な存在?だそうだ。
ここに収容されてるってことは、フリーメイソンと同じって見なされていると思っていいのかな。


「兄弟へ」で始まるこの手紙は、新しくメンバーになった人へ送るもので、「あなたはロッジに承認されました…」などと書いてある。1813年にロンドンで印刷されたもの。

ここで見つけたのが、古い英語表記。200年前には「長いS」が使われていたらしい。左上の赤線を引いたところ、「Mason」のsがfのような文字になっている。この手紙では全部sがこの長いsで書かれている。

ただ法則はあるようで、sが二つ続く時(passなど)の2番目のsは短いsで書くようだ。

二つ目の赤線の「respective」は、長いSに加えてcとtがくっついている。この時代の流行だったのかしら。

こういった表記の変遷は見ていて面白い。

部屋中央に展示されていたこの巨大な椅子。日本人は3人くらい座れそう。(比較:夫)西洋人男性なら2人かな。

これはイングランドのグランドロッジのグランドマスター(トップの座)についたジョージ4世( 1762~1830)のための椅子で、なぜこんな大きいのかというと、

プーさん「それはね、ジョージ4世の大きい体に合わせて作ったからだよ。大きいというのは背ではなくて、横幅がね」

なるほど…。

プーさん「あれがジョージ4世の肖像画だよ」

私「…?(でもあれはそんなに太ってない)」

プーさん「めちゃくちゃ美化されてるよね」

…なるほど!

年に1度、フリーメーソンは大宴会を行ったようで、その時使われたコップなどがこれ。

説明によると、

会員で飲みものをシェアするのが恒例で、グラスをテーブルにガン!と何度も(リズミカルに)たたきつけるように置くことで、銃声のような音を出す。これを「メソニック・ファイヤー」という。
それに耐えうるようにグラスの底は丈夫に作られている。

メソニック・ファイヤー…。

丈夫なグラスを作るより最初からお上品に飲んだほうがいやなんでもないです…。

メソニック・ファイヤー、女性でもやってたのかな?それとも女性会員はいなかったのかな。

フリーメイソン会議室の1室。世界中どこのロッジでもこんな感じのレイアウトらしい。

図書室と呼ばれる、参考文献が並んでいる1室もあり、ここでは特別展をしていた。

「Healing Through Kindness」という展示で、フリーメイソンが医療施設にも関係しているという内容だった。

フリーメイソンは病院経営もしていた

イギリスでは、フリーメイソンが「メソニック・ホスピタル」という病院まで作っていた。

1911年に、会員の寄付金で設立。イギリスには今のような無料の国営病院施設が1948年まで存在せず、高額の私立病院か、福祉団体が運営する公共病院しかなかったという。

赤十字教会の看護師たち。この中の幾人かはメイソン病院でも働いていたようで、フリーメイソンバッジをつけている。撮影場所は働くメイソン戦争病院。

結論として、秘密ってほどの秘密は探れなかった。実際に会合で何をしているか詳細にわかればもっと面白かったな。でも要は、石工職人の団体の会合から始まったものが、徐々に上流階級の社交の場として花開いていったようである。

この図書室を抜けると、今度はフリーメイソンにまつわるお宝を見せる展示室が続く。そこは奇妙なものの宝庫だった。ぶっちゃけ、ここの展示室が一番面白かった。

奇妙なお宝が続々と現れる展示室

ここでは、奇妙だったり豪華な品々が展示されていたので、その一部をここでは紹介。

この巨大な中国製のパンチ・ボール(1812年製)は、イギリスからイギリスの配下であったインドのベンガルにできた最初のロッジ(支部)に、「本物の友好の証」として献上されたという。
1947年にインドがイギリスから独立し、このボールはイギリスに返還された。

パンチとは、ここでは複数のアルコールや果物を混ぜてつくるカクテルのような飲み物のこと。

決まった時間にパンチを作る儀式?があったようなのだが、そこにこのボールを使用した。
9.5ガロン(約43リットル)入るらしい。

説明にレシピが書いてあった。

  • 三つ星ブランデー…4.5リットル
  • ジャマイカ・ラム…4.5リットル
  • ウイスキー…4.5リットル
  • オレンジキュラソー…容量は1としか書いていないので不明。
  • ライム・ジュース…1パイント(約0.5リットル)
  • アンゴストラ・ビター…テーブルスプーン2杯
  • スライスしたオレンジ…2枚
  • スライスしたレモン…2枚
  • キュウリの皮…1本分
  • 砂糖…0.9kg
  • ひとつかみのハーブとスパイス(飾り用)

なんかすごいものができそう。そしてここでも入るキュウリ。

お冷やカクテルにキュウリを入れる?イギリス人のキュウリ愛

このパンチは必ず午後1時に作られ、夕方の宴会の前にソーダが注がれるんだとか。
4人の会員がボールの周り、東西南北に立って、ソーダをおごそかに注ぎ入れるらしい。

なんかここまで読んでちょっとげんなりしたのだが、カクテル作りも儀式なのか…。なんか4人が神妙にソーダを加えるのを想像したら笑ってしまいそうだ。

このコテ、「プロ・グランド・マスター」と刻まれている。

1971年に、イングランドのノーサンプトンという地域にフリーメイソンホールが完成した際、セレモニーに使われたとか。

コテは、前身の石工職人ギルドの名残のようだ。

この部屋の中で一番不思議だった品物がこれ。

一見ただの机だけど、なんか周期表のようなものが置かれている。

近づいて見てみても、何なのか、何に使われたのか、まったく見当がつかない。

説明を読んでみると、1925~1950年の間に作られた可能性が高く、スコットランドのロッジにあったものらしい。

数字には何らかの規則性がある。何かの計算に使われたらしい、ということまではわかっているが、この数字の組み合わせは、フリーメイソンに関係するものではないのだという。

職員の人に聞いても、「何に使われていたのか謎」との答え。うーむ…。

貝殻にフリーメイソンのシンボルが彫られた飾り物兼飲み物の容器。趣味と実益を兼ねたものとして一時期人気を博し、こぞって作られたとか。


ゾウのライター。インドの硬貨、ルピーを溶かした銀から作られている。19世紀には、ルピーを溶かして使うのは一般的で、溶かしたルピーは銀貨そのものより高価だったという。

戦争用のゾウをモデルにしていて、頭と背中には戦争用の飾りがついていて、要塞を背負っている。

1740~1763年に起きたカーナティック戦争(カルナータカ戦争)に関連していると見られている。この戦争はイギリス領インドとフランス領インドの戦争。


この展示室では、イギリス植民地統治時代の爪痕がところどころに出てくるので、いろいろ複雑な気分にもなった。

でも単純に、不思議なものがたくさん見られて楽しいので、おすすめできる。この記事で紹介したのは1%にも満たないほど、たくさんのものが展示されている。

ロンドンの中心部なのに、人もすごく少ないし、穴場な博物館。


フリーメイソン博物館 The Library and Museum of Freemasonry

住所:Freemasons’ Hall 60 Great Queen Street London WC2B 5AZ, UK

入場無料